日本語は生き残れるか
以前にもこの本読んだことあると思ったのだけど…
今回読んで面白かったから、チョット、簡単にだけど、内容をまとめてみよう。
言語の国際化と難易度
言語には格差がある
・マスコミや国際的な場面における英語進出によって、
日本語はふだんの卑怯な言葉に地位を落としつつある。
国内で勢力を失いつつある。
・言語に格差(難易度も)があるというのはタブーだった。
→言語相対主義
・庶民の間には言語差別意識の芽がある
→言語格差は隠しておくほうがよさそう。
・客観的な現状認識
→お金と結びつけて経済的方面から現実に言語に格差があることを見る。
・英語の今日のような国際語としての地位背景
→大英帝国の軍事力・アメリカ合衆国の経済力
→英語は身につけると高収入に結びつく可能性が大きかった
・世界の言葉は今、言語市場を作って市場価値をもって売り買いされる。
・英語の市場価値の将来予測→為替相場の変動と同じ。予測困難。
・19世紀以前の国際語=貴族・エリート・政治支配層等一部の人の所有。
→上流階級の教養の証
・現在国際語になりつつある英語→庶民の学ぶ言語。
貴族階級だけのものではない。
・ラテン語・フランス語のようなエリート好みの堅苦しさにひきかえ、
英語は庶民の簡単な日常交渉に使われる。
・ラテン語・フランス語に比べて英語は文法的に単純、難易度が低い。
名詞の男性形・女性形の区別や各変化がない。
名詞は単数複数以外に文中で形を変えない。
ドイツ語・フランス語の動詞のように「1・2・3人称単数・複数、計6種類
の人称形を暗記し、さらに過去形を覚える」のと比較すると英語は楽。
・小規模な国際語
→アフリカ東部のスワヒリ語・東南アジアのインドネシア語等、
自然発生した国際共通語・通商語・交渉語は、難易度低が多い。
言語の難易度とは何か。
・言語の難易度はアフリカのある部族で民間伝承として意識されている
→隣接のいくつかの部族の言葉について「何日の言語」かを言い伝える。
(五日でわかるようになる言語とか、1日でわかる言語とか)
・言葉の難易度には、絶対的難易度と相対的難易度がある。
絶対的難易度の判定基準
・服で言えば着方の難しさ→何歳でその服を着られるか。
(浴衣より訪問着のほうが難)
・子供がことば(母語)を覚える時を考えればわかる。
・社会規範として何歳くらいで使えるとみなされているか、
何歳までは使えなくても許されるかを難易度の手がかりにすることもできる。
・絶対的難易度のもう1つの基準として【使用時の気遣い】がある。
服で言えば着こなしが楽かどうか。
洋服は動きやすい⇔振袖で台所仕事をするのは大変
・しゃべる度に語尾変化・格変化・呼応などに注意しなければいけない言語
はそうでない言語に比べて難易度が高い。
→お金に例えると毎回の維持費・使用料・手数料みたいなもの。
・この難易度を客観的に測るのは難しいが、
日本語で「友達」というだけの文章でも、友達が男か女かを考えないと文章
がいえなかったり、主語が単数か複数かを明らかにするまで文章を翻訳
できない言語は使用料・維持費が日本語より高いと言える。
相対的難易度の判定基準
・外国語学習の容易さ→母語と目標言語との類似度
母語と似ていると楽=経済的/新たな記憶事項=追加投資
※類似性のパラドックス
母語と似ているものは易しいが、逆に間違えやすいという逆説
→しかし似てないともっと間違いが多いから、似てるほうがまし
・服で例えると、和服を着慣れた人には東南アジア山岳民族の衣装は
着こなし易いが、そうでない人は大股で歩こうとして転んだりと、
難易度が高くなる。
言語の難易度と市場価値
・英語が世界で広がっているのは絶対的難易度がそう高くないためでもある。
・言語の歴史的変遷を通時的に見ると最近、外来語等、
言語の国際化の動きが目立つ。
世界の言語が単語のやりとりによって相互に相対的難易度をさげている。
日本語の価値変動
日本語の中に着実に入り込んでいる英語
・電子メール・インターネット・映画タイトル・歌曲名
・歌詞・バイリンガル表示やアナウンスの増加
日本語の海外普及
・移民の日本語→1世2世3世の時代になるにつれ衰える。
・外行語(⇔外来語)=キモノ・ゲイシャ・カミカゼ・ホンダ・トヨタ
※日本語が将来広がるかどうかは経済に左右される。
言語の日英戦争
・これまで日本語には三位一体説が成り立つとさえれていた。
「言語」の使われる地理的範囲と
「国家」の範囲と日本「民族」の住む範囲が一致していた。
→この3者の一致はアイルランドを除けば世界でもまれ。
・現在世界の多くの言語は一部分を英語に侵されている。
(例:航空関係→航空管制は全世界英語)
・専門用語の訳語が整っていない等、その国の公用語で大学の授業が行われ
ない例が多くあるが、私達は日本語だけで大学の講義を行うことができる。
→しかし、日本国内で日本人に英語で講義をしている大学もある。
ことに理科系の学問では世界各地の大学で英語が使われる。
・「言語=民族=国家」の三位一体説は内側からくずれている。
・英語でかかれる国内の学会での研究発表資料。
・英語が使われる国際会議での発表。
・英語で行われる外資系の会社の会議。
・かつては英語は、フランス語・ドイツ語・日本語などとの差がそれほど大きく
なかったが、現在英語は2位以下との差をどんどん広げている。
→「外国語」と聞くと世界の大部分の国でまず英語を思い浮かべる。
→外国語教育では、各国で出来るだけ役立つ言語を教えようとするが、
制約のある環境で選ばれるのはやはり英語である。
・英語支配反対キャンペーンでもない限り、
英語と多言語との格差は今後ますます開いていくと予想される。
・言語間の不平等を無くそうと2言語化を進めると、
かえって英語が有利になって不平等を生じるというパラドックスある。
・英語が世界中に普及すると、英語国民が怠け、外国語を学びたがらない。
→英語国民が国際場面で有利である。
日本語の難しさ
<相対的難易度>
・英語国民にとって日本語は世界に冠たる難しい言語。
英語国民はアルファベット以外の文字は苦手。
※逆に英語は日本語話者にとって相対的難易度が高い。
・韓国語話者には、日本語はやさしい。
<絶対的難易度>
・一般に単純性が大きいほど難易度が低い。
・最近の日本語変化(言葉の乱れと非難されるような現象)を難易度の視点
から見ると、絶対的難易度が徐々に下がっているようだ。(単純化)
→日本語が国際化するためには、難易度が下がるほうがいい。
・日本語の語彙は難易度が高い。
使用頻度上位500語を覚えたとして・・・新聞・雑誌はどのくらいわかる?
→日本語では、文章全体でわかる単語は半分程度。
→フランス・スペイン・ルーマニア語では、8割程度の単語がわかる。
※日本語の単語の効率の悪さの一因=類異義語の多さ
昔から和語・漢語・外来語などを仲良く同居させ、
同じような意味の単語を微妙に使い分けている。
例:「ヒトツ・イチ・ワン」「ヒラク・カイテンスル・オープンスル」
・日本語の発音はやさしい。
日本語では5・6歳で大人と同じ発音ができると期待される。
アラビア語には世界一難しいとされる子音があり、
子供はこの発音が出来なくても大目に見られる。
※発音変化の経済化
日本語の発音変化として、
江戸時代以前から400年以上にわたってみられるガ行鼻濁音の消失や、
アクセントの平板化等、単純化・簡素化に結びつく変化で難易度低下。
言い換えれば経済的な方向に向かう変化がみられる。
・日本語文法の難易度は中位
中国語のように活用をもたない言語に比べると日本語文法は厄介
名・動詞の形を暗記するだけで年が明けるラテン語・ギリシャ語よりはまし
※文法の国際化→文法の相対的難易度を下げる
外来語の増加に伴う文法への影響
翻訳調の影響「〜によって(受身)」「〜ところの(関係代名詞)」
「より〜な/よりベターな(比較級)」「木たち(無生物名詞・複数形)」
語順の変化
「巨人 キャンプイン 宮崎です」(NHKニュース) 「To〜」「By〜」
→今に始まったことではない!漢語も英語と同じ語順
「於講堂」「至渋谷」「乞御期待」
※日本人自身による文法の単純化
「ら抜き言葉」「れ足す言葉」「さ入れ言葉」
目的格に使われる「が」を「を」で言い表すことが最近多い
→例外をなくす=絶対的何度の低下
・日本人にも難しい敬語(文法の1つだが独自に扱う価値がある)
高校生は使いこなせない、大学生でもあぶない、
使いこなせるよう期待されるのは社会に出てから。
※タメ口による難易度の低下
外国人が敬語を使えなくても、若者のタメ口と同じに扱ってもらえる。
・生活様式の欧米化に伴い言語行動も欧米化している。
→日本語の相対的難易度を下げている。
・日本語の文字は世界一難しい
表意文字(漢字)と表音文字(ひらがな・カタカナ)を
場面に応じて使い分ける。→最近はローマ字も混ぜる。
漢字は5万字くらいあり、全てかける人はいないだろう。
漢字には音読み・訓読みがあり、音読みにはさらに呉音・漢音がある。
最近は韓国音とでも呼ぶべき系列も加わった。「金大中キムデジュン」
→「一時」イチジ・イットキ・ヒトトキ どれで読むかは文脈に依存する。
→「何人」ナニジン・ナンニン 読み方によって全く意味が違う。
→人名においてはその漢字をどう読むかは自由である。
※日本語の文字の難易度は圧倒的に高く、それが最大の貿易障壁。
ローマ字表記
・世界の文字占有率はアルファベットと呼ばれるラテン文字が圧倒的。
・アルファベットは投資効率のいい文字。
覚える文字の種類は20個台
・5万に及ぶ種類を抱える漢字は初期投資が大変である。
日常で必要な数千字を覚えるにも年数がかかる
・漢字文化圏は縮小する一方である。
・アルファベット表記は誰にでも読めるとして、世界中に広がりつつある。
・現代日本でもローマ表記は着実に増えているが、
一方で正書法が守られず、つづりに統一性がないという問題がある。
・「シsi/shi・チti/chi・ツtu/tsu・チュtyu/chu」の表記
・長音「オー」の表記
ou/ 「王」?「追う」?
oh/ohashi「大橋」?「お箸」?「大芦」?
・促音・撥音の表記
「アッ」=a' ?
「kanei」寛永?金井?
「n・b・m」の区別 「新松戸」Shimmatsudo?
・助詞の表記 →「好悪を」=kooo?
国際化に従って、ローマ字表記の正書法を確立する必要がある。
・・・あまりまとまってないけど、疲れたからよしとしよう。